「やれやれ、くたびれた」 と言って仕事を終えるのが日課のツレアイです。
ほとんど聞き流しているのですが、口癖以上に実感がこもってきたと感じると、近場の温泉の空きでも聞いてみるか、とJTBに出向く私です。 8月の終わり、空いているところがなければ仕方がないけれど、と、さほど期待は抱かないようにしながらJTBのカウンターへ。 出向いたのが火曜日ですから、あと4日しかありません。 「とりあえず、北のほうから見てみましょうか」 とJTBの T さん。 「うーん、ここもいっぱい・・・」 やっぱりだめかあ、と半ば諦めていると、 「あ、塵表閣が空いてます 」 ラッキー! 即決! 湯田中・渋温泉郷の一番奥、上林温泉の 『塵表閣』 は、RxR内のブログで一度アップしたことがありましたが、 その後はチャンスに恵まれず、 我が家も数年ぶりの訪問になります。 <2016年8月27日> 通路の右にあるのはこちらの宿に逗留した文人墨客の品々を展示しているギャラリーです。 帳場のある玄関から、すぐに部屋に案内してくださいます。 離れの部屋にはかつては庭の敷石伝いに行きましたが、今は屋根つきの通路で結ばれています。 少し狭い印象になりましたが、雨でも、雪でも濡れずに移動できるのはやはりありがたいです。 どの離れも昔の佇まいを極力残していますが、 新しくすべきところは改装されています。 「二人静」の1階には「一人静」と言う部屋がありますが、半地下の構造だそうで、そのため物置として使われており、我が家の部屋はとても静かです。 天井や書院の組木細工は明治の意匠を忠実に残してあるそうです。 丸窓の隣の小部屋の、文机のあるところに、専用の文机を持ち込み執筆していたそうで、丸窓を気に入り、書いたものの中にも登場しているそうです。 そんなこともあってか、林芙美子の小説が映画化されたときは 『塵表閣』 でロケも行なわれたと聞いています。 部屋でお菓子とお茶をいただきますが、机の上には常時冷たい蕎麦茶が置かれています。 部屋はたまたま「二人静」ですが、女将はヒトリシズカがお好きで宿のロゴにも描かれています。 小さいですが、一通りアメニティの揃った洗面の左にトイレ、右には半露天風呂があります。 もちろん源泉かけ流し。 地獄谷から引湯されています。 お湯の表面は熱いのですが、かきまぜるとちょうど良くなります。 着替えてお風呂に行きます。 <お風呂> この日は土曜日でしたが、なぜか前日の金曜日が満室だったそうで、静かな、どなたにも会わない湯浴みでした。 内湯に戸がありますが、開けると隣の「男湯」の露天に出ます。 混浴になりますが、脱衣所には湯浴み着が用意されています。 ツレアイしかいないのがわかっているので、覗いてみます。 女湯の露天より広く、奥は洞窟になっているようですが、ツレアイしかいないとわかっていても、奥まではちょっと遠慮しました。 <夕食> 食事は食事処の離れへ。 時間にお迎えが来ます。 旬菜は玉ねぎソースの上にトマト、生ハム、チーズ、ナッツ。 モロッコインゲンのカシューナッツあえ、コリンキーとブドウの和え物。 食前酒は地酒の生酒。 今日のお遊び:きゅうりの塩昆布あえ。 虹鱒の蕎麦の実揚げ。 もろこしのすり流し 虹鱒の蕎麦の実揚げ は女将考案の名物料理です。 20センチもあろうかと思われる虹鱒ですが、頭から食べられます。 レモンを絞るだけで食べますが、特別味がついているわけではないのに、これがおいしいんです。 大きな丸ナスの焼き浸し。 信州サーモンとタコ。 しゃぶしゃぶは塩かポン酢で。 牛肉の固体識別番号がお品書きに記載されています。 お米は木島平産。 幻のこしひかりと言われます。 そうめんとレモンのお吸い物が斬新。 とてもおいしい取り合わせでした。 梨、長野パープルとシャインマスカット。 白玉あんこ。 <朝食> 夕食と同じ食事処に出向きます。 隣の部屋でしたが設えは同じです。 味噌汁の大きいこと! トマトの小鍋仕立てのお豆腐がおいしかった。 少しずついろいろのおかずで、 おいしい朝ごはんでした。 女将のお料理はオリジナリティにあふれ、 器も考えられていて、 おいしく楽しくいただきました。 チェックアウトは帳場で。 精算を待つ間に、かたわらの打ちかけの前で記念写真。 すぐにプリントアウトしてくれます。 おみやげに青唐辛子味噌(夕食時についたもの)もいただいて、満ち足りた滞在を終えました。
by spring-ephemeral
| 2016-09-15 01:57
| 宿を楽しむ ~長野県内~
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Comments(6)
お母様と2人で、ご主人様と2人で、、、、
我が家の場合、主人と2人で、、、というのはあっても 母と2人で、、、というのが なかなかできません。 どうしてだろうと考えてみたところ、 うつきよう様のご主人様が お仕事をされていることが 好条件なのではないかと、、、 (ご主人様には申し訳ないですけど) 纏めてブログを拝見し、3人よりも母娘での旅行を なんとか実現できるように考えてみたいと思います。
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パンジー
at 2016-09-15 22:13
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「やれやれ、くたびれた」に、いそいそと♨探し・お宿探し、羨ましい。
主人の「腰痛い」に、お医者さん・整体・接骨院への運転手役の日々。 今度は湯治を薦めてみようかしら? うつきよう様のお心が通じたのでしょう、素敵なお宿がとれましたね。 勘違いだったのかしら、こちらのお宿を数年前に拝見したような気が… いずれにせよ、気持ちよさそうなお湯に、ため息が出ました。 雲間の月よりも、温泉が恋しい私です(笑)
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うつきよう
at 2016-09-16 00:32
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shinmama様、
我が家は父も自営でしたし、昔は犬や猫もいて、 4人全員で泊まりがけで出かけることが難しかったので、 いつしか旅行は交代で行くパターンができあがっていて、 今もその流れできているのですが、 問題は食事です。 ツレアイは料理をしない(できない)ので、食事の用意をしておかないといけません。 朝とお昼はなんとかなっても、夜が・・・ と、ここで最高の条件が! ツレアイは月に3日ほど、夜、飲み会や無尽ででかける日があるのです。 たとえば第一金曜日、とか、第三土曜日とか。 そこで、その日にでかけることにして、問題解決! さて、すでにお気づきのことと思いますが、一番得をしているのは私です(^_^)v
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うつきよう
at 2016-09-16 01:08
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パンジー様、
「やれやれ、くたびれた」をダシにしている感が漂っている?かも?(笑) 近間に温泉が点在しているのがありがたいです。 はい、おっしゃる通り、RxRのときに一度アップしました。 それこそ「湯治」気分のするレトロなお風呂で、 館内にもレトロな時間が流れているようなでした。 たまにはこんな純和風の宿もいいなあ、と思いました。
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よし坊
at 2016-09-16 11:33
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う〜ん、素晴らしい宿ですね。風呂も料理も申し分なし。そして僕は部屋食より食事処で食べた方が落ち着くのでそれも気に入りました。部屋食は自分の物とは言え何かゴチャゴチャ有るのが気に成って落ち着かないんです。
前回のブログのチップに話しですが以前領収書を翌日よこした宿がありました。それ以来高級宿(滅多に泊まりませんが)でもチップは原則渡さない事にしています。
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うつきよう
at 2016-09-17 00:56
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よし坊様、
昔の旅館の風情を残している宿ですが、 古いままでなく、時代に合わせるところは合わせているのが良いです。 食事処も、以前は座卓でしたが、椅子席になったのはありがたいです。 食事処は、部屋に戻ってくると布団が敷かれているのがいいですし、おっしゃるように食事に専念できますね。 やはり領収書を出した宿がありましたか! チップなど期待せず精一杯のおもてなしをするのが日本の宿の心意気、とは思いますけど、 ちょっと寂しいですね。
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